「許されぬ恋」の行方

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たま~にこのブログに登場するラジャおばさまの目下の悩みは、甥っ子が「許されぬ恋」にお熱を上げていること。

アラブには、いわゆる″ご法度″が幾つもありますが、とくに結婚相手を選ぶ時にはこうした暗黙のルールに従うのが普通とされています。ヨルダンにはたくさんのスリランカ人やフィリピン人がメイドとして働きに来ていますが、こうした女性たちと結婚するなんてあり得ない、と一昔前の世代は考えています。

さてラジャおばさまもこうした“一昔前の世代”の人。甥っ子がスリランカ人の女性に熱を上げているのがどうにもこうにもご不満なのです。あり得ない!! と思っています。甥っ子には本当にがっかりさせられている、とブツブツ。先日も私を家に呼びつけ、「ここだけの話だけどね」と切り出します。「一体どう思う??」と聞くわけです。「私としては、メイドの母親を持つ女性を結婚相手にするなんて、絶対に許せない。差別をしているわけではないけど(ほんまか?)、どうにも彼女の母親の仕事が適切ではない。」とのたまう。「で、日本人としてはどう思う?」というわけです。

私は実は、このスリランカ人の女性も、ラジャおばさまの甥っ子も知っております。で、個人的にはこのスリランカ人の女性はお気に召しません。自分勝手でわがままだし、かなりプライドが高い。世の中の男性はすべて自分に気があると思っているような娘(コ)なので、どうにも好かん。でもそれだからと言って、ラジャおばさまに同調するわけにもいきません。

「う~~~ん」と考えて、答えました。「日本にはそもそもメイドさんというものがあまりいないので、親がメイドをしているケースはほとんどないし・・・。アラブの文化と日本の文化では結婚に対する見方が全然違って、日本では相手の仕事とかお金とかはあまり重要なポイントではないと思う」などと何だか訳の分からない答え。しかもアラビア語だから、どこまで通じているんだか。でもラジャおばさんは「そうか、文化の違いか」とうなずいた後、「でも!」と食い下がります。「仕事とか何とかは別にしても、甥っ子にはお金がないのよ! 結婚したとしてもどうやって暮らしていくの? 冷蔵庫、ガス、テレビ…まぁテレビはいいとしても、家具とかどうするわけ?」

おっしゃる通りでございます。この甥っ子さん、月収はたったの200JD (26000円ほど) で、結婚しようにもまったくお金がありません。父親からの猛反対で家を飛び出し、でも自活はできず、スペイン人の友達の家に転がり込んですねをかじっています。うむむ・・・それもなんか格好良くないですけど。

アラブ世界では、結婚は人生の中で最も重要なものの一つ。「結婚しないこと=恥」とみなされます。愛ちゅうもんは二の次。親は目の色を変えて、自分の娘の結婚相手を探します。年頃(といっても、かなり若い)になると男性も女性もお似合いの相手を探すことが最大の関心事。でも誰でもいいというわけではない。相手の社会的立場や経済状態、家族などはとても重要です。家族が第一のアラブにとっては結婚は当事者だけの問題では済みません。

とかく親が勇み足をしがち。子供(特に年若い娘)にかなりのプレッシャーを与えてしまうケースも多いです。さらに年頃の男女を見ると、くっつけたがるのもアラブ。私も絶えずたしなめられ、諭され、紹介され・・・最近でこそ「ふふん」と鼻で笑ってあしらえますが、かなりしつこいです。

アラブとは結婚しない。たとえ億万長者になると言われても。

アラブの花嫁さん

この写真は、今日結婚した私の友達。式はオーストラリアで。3時間前の写真です。まだ21歳の彼女ですが、親御さんはほっとされていることでしょう。

ところで話を元に戻して、ラジャおばさんの甥っ子の恋の行方。一体どうなることでしょう。アラブ世界では何事も「秘密」にしていることができません。ラジャおばさまも「ここだけの話だけどね」とよく言いますが、絶対に別の人にも言っている(笑)。

この甥っ子の「許されぬ恋」も知らぬ人はいない。みんながその行方を固唾(かたず)を飲んで見守っているのです。やれやれ。

どういう結果になるにしても、自分の決定に責任があるのは本人です。本当に、この恋の行方は如何に??

 

 

 

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中東を旅するツアーコーディネータ。ヨルダン・レバノンに7年間滞在後、現在はトルコ在住。アラブ世界で泣いたり、笑ったり…異なる文化と言語に囲まれて奮闘する中東での生活をレポートします。地元密着の情報もどんどんアップしていきます。

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