1. イスタンブール (Istanbul)

イスタンブールの人口は2016年に1480万人を超えたといわれています。日々発展を続ける巨大なこの現代都市は様々な魅力であふれています。イスタンブールの見どころを1日で見て回ろうとするとかなり大変。連泊してこの街の隅々を散策していただきたいもの。イスタンブールのヨーロッパ側には、ブルーモスク(スルタン・アフメット・ジャーミィ)、アヤ・ソフィア地下宮殿トプカプ宮殿グランドバザールなどの見どころに加えて、様々な博物館が軒を連ねます。ボスポラス海峡のクルーズツアーもお勧め。アジア側ではユスキュダルカドゥキョイなどの地区で歴史を感じさせる街並みを楽しめます。

2. エディルネ (Edirne)

ギリシャやブルガリアと国境を介するトルコの街エディルネ。トルコで10番目に指定された世界遺産「セミリエ・モスク」があります。これはイスラム建築の最高傑作とも言われています。建築したのはトルコを代表する建築家ミマール・スィナン。彼自身がこのセリミエ・モスクを「生涯の最高傑作」と語ったと言われています。イスタンブールのブルーモスクに引けを取らない、あるいは一部ではブルーモスクを凌ぐ傑作とも称されるモスクです。エディルネは1361年から1453年の間、約90年間トルコのオスマン帝国の首都となっていました。その後1453年にオスマン帝国の首都はイスタンブールに移されました。モスク以外に見どころはあまりありませんが、イスラム建築にご関心のある方はぜひ足を延ばしてみてください。

3. チャナッカレ (Çanakkale)

エーゲ海沿いのチャナッカレは世界遺産に登録されているトロイ遺跡への玄関口となります。トロイ遺跡へはチャナッカレからバスで30分ほど。ギリシャ神話だけの世界と思われていたトロイがドイツ人のシュリーマンによって実際に発見されたのは1870年代。破壊と再建を繰り返したこの古代都市は実に9層もの遺跡で成り立っています。遺跡そのものはそれほど大きくはなく、1時間ほどあれば見学が可能です。近くに来られた方は足をお運びになっても良いかも。

4. ペルガモン (Pergamum)

古代ペルガモンの遺跡の近くには,現在のベルガマがあります。ペルガモン遺跡は、丘の上にあるアクロポリスと丘のふもとにあるアスクレピオンの2つに分けられます。ペルガモンは紀元前3世紀から西暦2世紀ごろまで栄えた都市で、2014年に世界遺産に認定されました。アスクレピオンはギリシャ神話の医学の神アスクレピウスに捧げられたもので、最古の総合医療センターとしての役割を果たしました。小アジアの至る所から、治療と療養のために人々が押し寄せたと言われています。丘の上のアクロポリスにはエジプトのアレクサンドリアに並ぶ規模の図書館がありました。また古代ペルガモンは羊皮紙が考案された場所としても有名です。羊皮紙とは、羊・やぎ・子牛の皮を加工して筆記材料として用いられたものです。羊皮紙に相当する英語の単語は “parchment(パーチメント)” で、ラテン語のペルガメーナに由来します。羊皮紙はエジプトのパピルスに代わるものとして考案されました。動物の皮が加工されていたために、比較的安価なパピルスよりずっと耐久性がありました。

5. エフェソス遺跡 (Ephesus)

古代ローマ遺跡の中でも保存状態が良いことで群を抜く美しい古代都市エフェソス。この都市の最も傑出した大建造物は、古代人により世界の七不思議の一つとみなされたアルテミスの神殿でした。残念ながら現在では柱が1本残るのみとなっています。遺跡内には世界三大図書館の一つに数えられたセルシウス(ケルスス)図書館や剣闘士の戦いも行われたであろう大劇場などがきれいに保存されています。エフェソスは使徒パウロが西暦1世紀に熱心なクリスチャンの宣教を行った場所としても有名で、聖書の中で何度も言及されています。例えば使徒活動の書には、多くのエフェソス人がパウロの宣教の結果アルテミス女神の崇拝を捨てたので、銀細工人デメテリオが仲間の銀職人を説き伏せて大騒動を起こしたという記述があります。デメテリオは仲間の職人にパウロの行なっていた宣教活動は自分たちの職業を脅かすものであり、アルテミスの崇拝をも危うくしていると指摘します。激怒した銀細工人たちは、「偉大なのはエフェソス人のアルテミス!」と大声で叫び始め、市内は大騒動になり約2時間ほど大劇場で混乱が生じました。

6. パムッカレとヒエラポリス (Hierapolis & Pamukkale)

世界遺産に指定されているこの地域は「ヒエラポリス-パムッカレ」(複合遺産) という名前で登録されています。パムッカレはトルコ有数の温泉で、真っ白な石灰棚はまるで白銀の世界。これは、台地の上部から流れ出る石灰成分を含むお湯が長い時を経て結晶化し、台地全体を覆ったため。石灰棚は段々畑のような形状になっており、ブルーの水が幻想的に光ります。ヒエラポリスは「聖なる都市」という意味で、パムッカレの丘の一番上にある遺跡です。ヒエラポリスはローマ時代には豊穣の女神キュベレの信仰の中心地として繁栄するようになりました。キュベレの崇拝が盛んになった理由として、ヒエラポリスで当時見られた二つの自然現象が挙げられます。湧き上がる鉱泉と、致死的な有毒ガスを放出していたプルトニウムという深くて狭い割れ目です。こうした自然現象のゆえに、この古代都市は神託や温泉保養地として繁栄しました。

7. トルコ西部 (Western Turkey)

前述の観光地以外にも、見どころが多くあります。エーゲ海の最南端ボドルムは特に夏の期間、トルコでも有数の高級リゾートとしてにぎわいます。トルコ西部の地域は新約聖書にゆかりの深い場所でもあり、イエスが「ヨハネによる啓示の書」で手紙を宛てられた7つの会衆 (エフェソス、スミルナ、ペルガモン、テアテラ、サルデス、フィラデルフィア、ラオデキア) は全てこの地域にあります。

8. アナトリア中央部 (Central Anatolia Region)

トルコ中央部に位置するアナトリア高原に広がるキノコの形をした奇石がにょきにょきと突き出す異次元の世界を楽しめるのがカッパドキア(Kapadokya)。カッパドキアを制覇する前に、まずはギョレメ屋外博物館でカッパドキアの全体像をつかんでいただくのが良いかも。パシャバー地区、オルタヒサル、カイマクルの地下都市などいくつかの見所が点在しており、レンタカーをされるか旅行会社のツアーに参加されるのが一番効率が良いかと思います。拠点となる町はギョレメ以外にアヴァノスやユルギュップなど。

9. トルコ東部 (Eastern Turkey)

アドゥヤマン(Adıyaman)、シャンルウルファ、カハラマンマラシュ、ディヤルバクル、ヴァンなど一般的なツアーには含まれることが少ない見どころが目白押し。お勧めは 2000メートル以上の山ニムロトダーゥ(ネムロト山)。頂上にあるのは、世界遺産に登録された神々の像。この遺跡はアンティオコス1世によって建てられた彼のお墓ともいわれています。アンティオコス1世は、この辺り一帯を支配していたコンマゲネ王国の最盛期に支配していた人物で、在位は西暦前69年から西暦36年といわれています。支配者にありがちな自己顕示欲が強い人間だったこの人物は、自分を神格視していたために神々と一緒に自分の像も建てたようで、自分の死後も人々から崇拝されることを望んでいたといわれています。今となっては真実は誰にも分かりません。顔部分のみ残された神々の石像が風に吹かれて立ち並ぶ、一風変わった世界遺産。お時間のある方は是非!

*写真はユネスコのホームページよりお借りしております。

10. アンタキヤ (Antakya)

かつてはシリア領だったアンタキヤ。そのため住民の多くがアラビア語とトルコ語の両方を話します。トルコにいながらシリアの雰囲気が味わえる不思議な街。聖書では「アンティオキア」と呼ばれるこの地域。イエスの弟子たちが「神慮によってはじめてクリスチャンと呼ばれた」場所で、クリスチャンという名称が誕生した稀有な場所もあります。アンティオキアは紀元前4世紀にセレウコスによって建設されました。地中海沿いのサマンダー(Samandağ)はアンタキヤ市内から車で45分ほどの距離で、聖書時代にはセレウコスにちなんで「セレウキア」と呼ばれる港がありました。この港から使徒パウロが宣教旅行に出かけました。サマンダーにはローマ時代のティツス将軍が作ったトンネルがあります。全てを手で掘りぬいたこの巨大なトンネルは偉業と呼ばれています。またアンタキヤ市内にある考古学博物館は中身が非常に充実していて、一見の価値ありです。

11. ガジアンテプ (Gaziantep)

トルコの「食の首都」または「美食の街」と称されるトルコ南東部のガジアンテプ。ガジアンテプの食を堪能するためにトルコ中から観光客が押し寄せます。この地はピスタチオの生産でも有名で、そのピスタチオをふんだんに使ったバクラヴァもガジアンテプのものが一番美味しいといわれています。またシリアのアレッポ石鹸でも有名です。これは、ガジアンテプがシリアのアレッポにほど近く、気候が酷似しているため。戦火を逃れてきたシリアのアレッポ石鹸の職人たちがガジアンテプでアレッポ石鹸を製造しています。オーセンティックで古き良き時代のトルコの雰囲気を漂わせるガジアンテプ。ここにあるゼウグマ・モザイク・ミュージアムは世界最大規模で、美しいモザイクの数々が展示されています。