中世イスラムにタイムスリップ‼ カイロ旧市街の隠れ名所「al Muizz 通り」で歴史散歩

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エジプト・カイロを訪れる人の多くが、必ず立ち寄る場所——それが ハーン・アル・ハリーリ です。大抵、どのツアーの行程にも含まれますので、名前を聞いたことがあるという方もおられるかもしれません。迷路のように入り組んだスーク (市場) には、香辛料の香り、金属を打つ音、売り子の呼びかけが渦巻き、カイロのエネルギーを肌で感じられます。

この市場の起源は 14 世紀末、マムルーク朝時代。もともとは「ハーン (隊商宿)」として、長距離交易を行う商人たちが宿泊・取引・保管を行うための施設でした。現在もその役割は姿を変えて生き続けています。

観光客だけでなく、地元の人々も日常の買い物に訪れ、「とにかく安い」という理由で今なお絶大な支持を受ける場所。ただし…人混みと客引きの多さに、少し疲れてしまうのも正直なところです。

観光客が見落としがちな "もうひとつの主役"

そんなハーン・アル・ハリーリに隣接しながら、驚くほど静かで、驚くほど濃密な歴史をたたえる通りがあります。それが al Muizz 通り。アラビア語の発音をそのまま日本語で表記すると、「アル・ムアイッズ」とするのが一番近いかと思います (アラビア語にしかないアルファベット「アイン」が含まれるため)。ただしインターネット上では「ムイッズ通り」とされていることが多いです。

徒歩で簡単にアクセスできるにもかかわらず、日本人旅行者の姿はほとんど見かけません。しかしここは、「歩く野外博物館」と呼ぶにふさわしい、カイロ旧市街屈指の歴史回廊です。

ムアイッズ通り

1000 年続く、カイロの背骨

ムアイッズ通りの歴史は 10 世紀にさかのぼります。ファーティマ朝時代、この通りはカイロのメインストリートとして整備され、応急が並び、政治・宗教・商業のすべてが集約されていました。

当時はこの通り沿いに、

 

宮殿

モスク

マドラサ (神学校)

スーク

 

が次々と建設され、その後もアイユーブ朝 → マムルーク朝 → オスマン帝国 → 近代エジプトと支配者が変わっても、常に「都の中心」であり続けたのです。現在はその跡地に、モスクやマドラサ、邸宅などが重層的に残されています。

石畳の道を歩いていると、ミナレットが重なり合い、精緻な石彫装飾が視界に飛び込んできます。ここでは“遺跡を見る”のではなく、“歴史の中を歩く”感覚が味わえます。

まるで「歩く野外博物館」のようなムアイッズ通り

外観だけでは、もったいない

ムアイッズ通りの建築群は、外から眺めるだけでも十分に美しい。しかし本当の魅力は——内部に足を踏み入れた瞬間に始まります。中庭に差し込む光、色石のモザイク、静まり返った礼拝空間。外の喧騒から切り離されたその世界は、まさに「隠された宝石」。

建物の中を見ずに帰るのは、本当に、本当にもったいない。

見どころが集中するベスト区間

ムアイッズ通りは実際にはかなりの長さがありますが、特に見どころが密集しているのは、バーブ・アル・フトゥーフ門 ⇔ アズハル通りまでの区間。

ここを歩けば、ムアイッズ通りの約 8 割を制覇したと言ってよいでしょう。ムアイッズ通りは、アズハル通りからさらに南へと伸びていますが、時間に余裕がある方向けです。

またムアイッズ通りには、東西に小さな道がたくさん走っています。お時間に余裕がある方はこうした小道に入ってみられるのもお勧め。名もなきローカルの小さなカフェなどがこうした小道にあることも。ツーリスト用の派手なカフェではなく、ローカルの静かなカフェで一服されるのもよい体験になるはず。小道は入り組んでいますが、迷いそうなときはメインのムアイッズ通りにまた戻れば問題ありません。

共通チケットは必須

ムアイッズ通りを本気で楽しむなら、共通チケットの購入は必須です。

 

チケットの値段 (2026年1月現在)

料金:220エジプトポンド
ほぼすべての歴史建築に入場可能
コスパは非常に良い

 
チケット売り場は Qalawun Complex の前にあり、どちらの地点から歩き始めても多少の距離があります。ただしオンライン購入も可能です。とはいえ、途中に見どころが点在しているため、「いったん通りを歩き、また戻る」散策も悪くありません。

なおムアイッズ通りでは、インターネットが通じにくい場所もあります。地図などは事前にダウンロードされるなどしておかれるようにお勧めします。

最低でも半日、理想を言えば時間を気にせず歩ける日に訪れてください。

ムアイッズ通りで見ることができる風景

代表的な建築物を写真で少しご紹介します。ムアイッズ通りではこんな風景が味わえます。

■ Qalawun Complex

マムルーク建築の最高傑作と称される建築群。病院・モスク・マドラサが一体となった構成は圧巻。

 

4

↑ スルタンの霊廟

 

カラウーン2

↑ 外観はこんな感じ

 

 

■ベイト・スハイミ

オスマン時代の邸宅。マシュラビーエ (木製格子窓) 越しに差し込む光が美しい。

 

ベイト・スハイミのマシュラビーエ
  

■アクマル・モスク

1125 年 (ファーティマ朝時代) に建てられた、カイロ最古級のモスク。

アクマルモスク

ムアイッズ通りの見どころのすべては Google にも載っていない?!

実は、ムアイッズ通りの見どころは想像以上に多く、Google マップには載っていない場所もあります。地図を頼りに歩こうとすると、かえって分かりにくく、見逃してしまう建築もあります。

また、通り沿いの多くの歴史建築には、一般公開されているエリアとは別に、内部の別室や屋上へ案内できる「鍵」を持ったスタッフが常駐しています。チップを渡すことを前提にお願いすれば、通常は立ち入れない場所へ案内してもらえることもあります。あるいは向こうから声をかけてくることも。

いずれの場合も、チップを前提としたやり取りであることを事前に知っておくことが大切です。

実はそうした非公開エリアこそ、最も眺めが良く、印象に残る場所だったりします。

ただし、

誰に声をかければよいのか

声をかけられた場合、どう判断すべきか

チップの相場はどの程度か

 

といった点は、事前に知っているかどうかで体験の質が大きく変わります。エジプトではチップ文化が深く根付いているため、事情を知らずにいると戸惑ったり、後味の悪いい思いをしたりすることもあります。

 

こうした現地でのやり取りのコツに加え、ムアイッズ通りに特化した詳細地図、時間が限られていてもこれだけは絶対に外せないお勧め 5 選などについては、

note にて有料で詳しく解説予定です。

 

お勧めの時間帯

建築群の入場:〜17時まで
夜:ライトアップされ、カフェやレストランが賑わう
音楽の生演奏が楽しめる店もあり、夜の雰囲気も魅力的。ただし、伝統的なイスラム地区のためお酒は基本的にありません。

 

目的別おすすめ

歴史散策重視:午前〜午後
雰囲気・食事重視:夕方〜夜
総合的におすすめ:断然「昼」

 

所要時間の目安

さっと歩くだけ:2 時間ほど
建築内部も見学:半日以上
カフェや食事も含めて:ほぼ丸 1 日

まとめ

ムアイッズ通りは、「まだ知名度が低いけれど、本物を知っている人が選ぶ場所」。

ハーン・アル・ハリーリの喧騒に少し疲れたら、ほんの数分歩いて 1000 年前のカイロへ足を踏み入れてみてください。カイロの美しさに圧倒されるはずです。

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