中東を旅の行き先に選ばれる方は、旅の上級者が多いかもしれません。初の海外で中東を選ぶ…という方はまずそんなにいないでしょう。ヨーロッパやアジアなどを一通り旅行してきて、今度は中東に行ってみたい…という感じで、中東を行き先に選ばれる方が多いのではないかと思います。
↑ 最も保存状態が良いローマ時代の遺跡といわれるジェラシュのフォーラム(広場)
一度中東に来た方の中にはハマってしまう方も多くおられます。その後は中東に足しげく通われる方も。中にはヨルダンのベドウィンと結婚することになった…なんて方もおられます。以前のお客様で、既婚者だった女性がワディラムのベドウィンに惚れてしまい、日本に帰国後に離婚してこのベドウィンとの結婚に向けて準備を始められたというケースがありました。結局うまく行きませんでしたが…。ま、こういうケースについては、私のほうでは全く関わりませんし、何も申し上げることはありません。心の中では、引っかかりはったな、哀れや…と思っていることは秘密!
恋早い女性にはそんなワナ (?) が潜んでいることも事実ですが、それでも中近東ツアーのコンシェルジュとしては中東の旅行先にヨルダンを強力に推したいと思います。旅の上級者もビギナーも満足できるのがヨルダン。その理由とは…
1. ヨルダンには “本物” がいっぱい
ヨルダンには「世界で一番古い」ものや Authentic なものが多い。Authentic とは、偽物ではなく真正なもののことです。ざっと挙げてみたいと思います。ヨルダンにある「Authentic なもの」つまり「本物」は 3 つのカテゴリに分けることができます。歴史に関係した本物、宗教に関係した本物、そして本物の自然です。
歴史に関係した本物
1. 人間を形作った世界で一番古い像 Ayn Ghazal アイン・ガザール
2. 世界で一番古いダム Jawa (Al Jawa アル・ジャーワ)
3. こちらナバテア人の首都ペトラ (Petra)
*このうち、Al Jawa (アル・ジャーワ) は観光地ではなく、現在では石ころが広範囲に積み重なるだけのエリアとなっております。
宗教に関係した本物
1. 世界で一番古い中東の地図 the Madaba map (マダバの地図)
2. バプテストのヨハネがイエス・キリストに浸礼を施した場所 Bethany (ベタニー)
3. こちら預言者モーセが約束の地を見渡した後に死んだ場所 Nebo (ネボ山)
本物の自然
1. 死海 (Dead Sea)
2. こちら 海面400メートルという世界で一番低い場所にある保護区 Mujib (ムジブ保護区)
このホームページ上でも今後、これらの Authentic な観光地を中心にヨルダンの魅力をさらにご紹介したいと思っています。
↑ 海抜 0 メートルの場所。ここから海面下約400メートルの死海まで下がります。
↑ 象でも浮く(ただし未実験)! 塩分濃度が 30% 以上の死海
2. ヨルダンでは “本物” のアラブの生活を垣間見れる
これは非常に大きなポイントです。サウジ・オマーン・ドバイなどいわゆる湾岸のアラブ諸国は、インド・バングラディシュ・フィリピンなどからの出稼ぎ労働者で溢れています。彼らがいないと社会が成り立ちません。ですから日常的に接するのはアラブではなく出稼ぎ労働者。オマーンでは接するのもインド人、食事もほとんどがインド風で私自身 辟易したことがあります。こうした国々は「アラブの国」ではあるものの、アラブについては分からないままで終わることが多いです。
そんな中でヨルダンでは、アラブが社会の中心となって生活しています。ですから、どこに行ってもアラブの世界。もちろんメジャーな観光地はツーリストで溢れていますが、それでもお店・レストラン・ホテルなどのスタッフのほとんどがアラブです。ですからアラブの生活を垣間見ることができます。
このアラブとの関わりを楽しんでお帰りになるお客様が非常に多いのです。特に、専用車のドライバーたちとはご旅行期間中かなり長い時間ご一緒に過ごしていただくことになります。ドライバーたちと仲良くなってドライバーの家に招待されたお客様も多く、どの観光地よりもこの体験が心に残ったなんていう方も。
↑ ペトラ付近の道路
やはり旅の醍醐味の一つは、現地の人との触れ合い。これなくしては、その国を本当に知ったということはできません。この点でヨルダンは非常に理想的な国といえます。
専用車をお使いにならないツーリストの方の場合はタクシーを乗り継いでいかれることが多いと思いますが、「セクハラに遭った」「お金をぼったくられた」などというお声を聞くこともあります。ヨルダンは数年前と比べて格段にアラブの質が上がっているとはいえ、油断をすると引っかかることがないとは言えません。この「セクハラ対策」や「ぼったくり対策」については、当方のブログでもたびたびご紹介しています。またご旅行前に、このホームページ上の「旅行のご計画 お役立ち情報」というセクションを少しお読みいただくようにお勧めいたします。
3. コンパクトで回りやすい距離であるものの、バラエティの豊かさはお墨付き
ヨルダンの国土は決して大きくありません。北海道くらいの面積であるといわれています。しかし、ヨルダンの持つ表情は実にバラエティに富んでおり、飽きることがありません。通常はペトラと死海など、メジャーな観光地の中でも最もメジャーなところだけを駆け足で回られる方も多いかもしれません。でもヨルダンを駆け足で回られるのは、非常に勿体ない!
南部や東部の砂漠から北部の緑豊かな保護区まで、この小さな国土に山あり、谷あり、砂漠あり、海あり、死海あり…。このホームページのヨルダンのセクションでもご紹介していますが、甲乙つけがたい見所で溢れています。ここはじっくり腰を据えて、ヨルダンのバラエティに富む自然の豊かさを楽しんでいただければと思います。
↑ 北部のアジュルーン保護区
4. 食事がおいしい
ツーリストの多い観光地では本物の味をなかなか味わっていただけませんが、ワディラムにお泊りになるとベドウィンの伝統的な料理を夕食に味わっていただけますし、アンマン市では Authentic でバラエティに富むアラブ料理の数々をお楽しみいただけます。アンマン市にはぜひお泊りになり、アラブのストリートフードであるファラフェルやシャウルマ、またローカルの人たちが通うレストランでマンサフなどのアラブ料理を楽しんでいただきたいと思っています。
↑ ワディラムの朝焼け
アラブはスイーツ好きでも知られます。スイーツ好き男子で溢れるアンマン市の街角。アラブのスイーツの代表格であるカナーフェもぜひ中東で味わっていただきたい一品です。
5. ヨルダンまとめ
ヨルダンを旅の行き先にお勧めする理由をざっと挙げてみました。いかがだったでしょうか。まだヨルダンに来たことがないという方はぜひご計画いただければと思います。また一度は来られたことがある方でも、きっとすべての観光地は制覇しておられないはず。メジャーではないものの、決して勝るとも劣らない別の観光地にもぜひ足をお運びいただければと思っております。
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