オマーンでは観光はまだまだ新しい産業分野です。ですから手付かずの自然が楽しめるのがオマーンの最大の魅力。現時点ではツーリストの常識に任されていることがほとんど。逆に言うと、未整備な部分が多い分、旅の上級者でないと敷居が高いというのも事実。そして旅の上級者でも戸惑うことが多々あります。
でも、観光がまだ整備されていない今こそオマーンを訪れるチャンスとも言えます。私はこれまで4回オマーンに足を運んでいますが、オマーンの大自然のスケールの大きさに比べると、オマーンの魅力にちょっと触れた程度と言わざるを得ません。まだまだ見ていないものがたくさんあります。ツーリストが一般的に回れる主な観光名所は一応制覇しましたが、地元のオマーン人しか知らない秘境がまだたくさんあるはず。
今回訪れたジャバル・シャムスは2度目の訪問。この中東の「グランドキャニオン」とも呼ばれる雄々しい山のトレッキングに再挑戦することにいたしました。今回はガイド付き。
このジャバル・シャムスは、オマーン北部からアラブ首長国連邦に向かって伸びるハジャル山脈の最高峰で、高さは3000メートル以上。ちなみに「ジャバル」とはアラビア語で「山」の意味。「シャムス」は「太陽」という意味です。「太陽の山」ですね。
なぜこの名前で呼ばれているかというと、ジャバル・シャムスはオマーンの中でも標高が一番高い山といわれています。標高は3000メートルほど。ですから太陽に一番近い山ともいえるわけです。
このジャバル・シャムスの魅力は写真では到底伝わりません。そのスケールの大きさは目で見ていただくのが一番。目の前に広がる中東のグランドキャニオンに圧倒されるはずです。
このジャバル・シャムスで楽しめるトレッキングは2コース。1つは12時間コースです。もう1つは3時間から3時間半ほどのコースで、当然ですが、こちらのほうがお手軽かつ山の魅力を手っ取り早く味わっていただける人気のコース。そのコースの特徴から「バルコニー・ウォーク」とも呼ばれています。
オマーンのトレッキング・コースには一応目印が付けらています。上の写真の黄色と白と赤の旗のようなものが目印。コースの要所要所にこの目印がありますので、迷うことはありません。とはいえ、コースによってはこの目印のつけ方がかなり大雑把で、やはり迷うこともありますが…。そこはオマーン。
トレッキング・コースから山の向こう側を見た様子。誰かがスパーンと切り取ったような台地(plateau)になっています。このトレッキング・コースは、ジャバル・シャムスの2000メートル付近にあります。
ひたすら下って登ってを繰り返す。
オレンジの丸で囲んだのが人が歩いているところです。遠くから見ると道が見えず、人が山の斜面にへばりついているように見えます。まさに壮大な自然の中を歩くトレッキング。
山羊たちが時折登場します。彼らは山の急な斜面もお手のもの。上手にバランスを取りながら、どこでもひょいひょいと歩いていきます。
赤ちゃん山羊たちも人間に興味津々(↑)
そして山羊は音もたてず、ひっそりと人間の近くまでやってきます。音をたてないので、ふと気づくと近くに山羊がいてびっくりすることが何回かありました。
さて1時間半ほど歩くと、ゴールにたどり着きます。ゴールは昔の村が廃墟になったところ。
この村は “Sab Bani Khamis”(サーブ・バニ・ハミース) と呼ばれていたので、このトレイルは「Sab Bani Khamis トレイル」とも呼ばれています。ただし「バルコニー・トレイル」という名前のほうが一般的。
この村には1985年ごろまで人が住んでいたようで、農業も営まれていました(↓)。段々畑の名残です。
私たちはここでコーヒータイムを楽しむことに。オマーン人のガイドは、トレイルの時にいつも小さなケトル(やかん)をリュックに引っ掛けています。どこでも美味しいコーヒーが飲めるという彼のおもてなし。とはいえ、実は彼が飲みたい…というのも事実ですけれどね。
さて、このゴールからさらに40分ほど歩くと洞窟とため池に行きつきます。そしてロープを伝ってさらに本格的な岩登りにも挑戦できます。ただし時間が限られていますし、ロッククライミングの素人である私は、一応のゴールまでたどり着いてこのトレイルは終了といたします。
さて、今回ガイディングをしてくれたオマーン人ガイドです。
あ、もちろん、トレッキングの際はきちんと普通の服に着替えていました。オマーンは旅の初心者向けの国ではありませんが、ガイドがいることで旅行はぐっとしやすくなります。ガイドを通してオマーンという国や国民についての理解もぐっと深まります。オマーンの旅にはガイドをお付けになるようお勧めいたします。日本人アテンドのお手配も可能ですので、英語に自信があまりないという方も是非ご相談くださいね。
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