知る人ぞ知るオマーン屈指の大秘境! ワディ・シャーブ (オマーン)

オマーンには手つかずの大自然が多く残されています。観光産業そのものがまだ新しい分野のオマーン。ツーリストの視点に立った観光地はまだそれほど多くありません。地元のオマーン人しか知らないマル秘スポットもたくさん。「知ってるんやったら来てもええけど、知らん人には別に教えへんで」というような知る人ぞ知る秘境が多いのです。

そんな中で、ヨーロッパ圏の観光客を中心にとても人気があるのがオマーンの秘境 Wadi Shab(ワディ・シャーブ) です。オマーンを代表する秘境といっても過言ではありません。

ところで、この「Wadi」というのはアラビア語で「谷」という意味です。オマーンにはこのような谷(ワディ)がたくさんあります。切り立つ岩山に挟まれたワディには美しいエメラルドグリーンの澄んだ水がサラサラとそして延々と流れていて、ここで泳ぐことができます。まずはワディ・シャーブの全体像 (といってもほんの一部ですが) を写した動画をどうぞ!

 

 

実はヨルダンにも「ワディ(谷)」はたくさんあり、その典型がワディ・ムジブです​(https://picturesque-jordan.com/jordan-mujib/trekking-adventure-dead-sea-reserve/ をご参照ください)。以前のお客様でこのワディ・ムジブでのウォータートレイルを「前代未聞のエンターテイメント」と適切に表現してくださった方がおられました。ムジブはそそり立つ岩山の間がとても狭く、シーク (細長い通路) の中を歩いていくようになっていますので、かなり冒険心がそそられるエンターテイメント。

 

オマーンのワディ・シャーブにはシークはなく、太陽の光を燦燦(さんさん)と浴びながら、広大な岩山を散策できるようになっています。下の写真をご覧ください。

 

 

白い岩山とエメラルドグリーンの水のコントラストが本当に美しいのです。岩山をよじ登ったり岩の隙間を縫って歩いたり…。歩くこと3、40分ほどでしょうか、道が悪いので良い運動靴は必須です。私自身はウォーキングシューズを履いていましたが、数名の友達はビーチサンダルを履いていましたので、ズルッと滑ったり岩山で四苦八苦したり…ちょっと大変でした。ワディ・シャーブに行かれるときは、まず最初は運動靴、その後ビーチサンダル (またはウォーターシューズ) に履き替えられるようにお勧めいたします。

 

 

さてこうした絶景を見るにはワディ・シャーブの奥深くまで移動する必要があります。ワディ・シャーブの入り口からは想像できない絶景の数々が待ち受けています。まずワディ・シャーブの入り口付近では、対岸まで渡し船に乗る必要があります。往復で1リアル(300円ほど)。↓ この付近の水は濁っていますし、パッとしない観光地に見えるかもしれませんが、ここで帰ってしまってはいけません。渡し船に乗って対岸まで渡ってくださいね。

 

 

ものの2分ほどで対岸に着きます。対岸で降りたら奥へ奥へとひたすら足を勧めます。トレッキングルートの目印などはありませんが、ツーリストがたくさんいるので大丈夫。といっても繁忙期を外すと、ルートの説明などがないのでちょっと戸惑うかもしれません。いずれにしても、分かれ道はそれほどありません。とにかく奥へ奥へと入っていきます。

 

今後いろいろと整備されていくと思いますが、整備されると立ち入り禁止になる場所も出てくることでしょう。今はツーリストの常識に任されているので、思い思いに楽しむことができるオマーン。

 

ワディ・シャーブもここ最近ツーリストが増えているとはいえ、まだまだ知名度が低い観光地。ですからかなりワイルドです。このままでいて欲しいという気持ちと、整備されて欲しいという気持ちと…なかなか複雑であります。奥へ奥へと入るにつれ、外からは想像できない美しい風景が私たちを魅了します。それにしても、ワディに豊かに流れる水の美しいこと! ドクターフィッシュもたくさん生息しています。

 

 

奥へ奥へと足を進めると、おや、人が泳いでいます。遊泳禁止などの表示もありませんので、どこでも自分が気に入った場所で泳げます。しかし岩山から飛び込みでもしない限り、水面に到達するのはむずしそうです。

 

 

そんなわけで、岩山を登ったり降りたり引き返したりしながら、水際に到達できる場所を探します。水面へのアクセスが比較的簡単なところにはすでにツーリストがたくさんいて、荷物を置きっぱなしにして泳いでいます。

 

私たちも歩いて汗びっしょりになっていますので、早く水の中に入りたい。でもこのワディ (谷川) は奥へ奥へとさらに続いている模様で、一体終着地点はどこなのかも気になります。引き返してくるツーリストに何度か聞き込みをしてゲットした情報は、終着地点には洞窟があること。岩山を登っていくと洞窟を上から見ることはできること。でもその洞窟内には歩いては到達できず、泳ぐしかないこと…です。

 

友達はドボンと水の中に入って泳ぎ始めましたが、私はさらに足を進めて洞窟の場所を確かめます。かなり高い場所からではありますが、洞窟らしきものが見えます。↓ この写真では、洞窟は奥のほうにあるので写っていません。しかし足がゾクゾクするほど高い。足が滑ったらどうなる? と勝手に想像して一人で恐怖に震えておりました。

 

 

洞窟までは、ウネウネと流れる川を泳ぐ必要があります。とはいえ、15-20分くらい泳いだら着く感じの距離です。泳ぎには問題ありませんので、泳ぐことにしました。友達のいるところに戻って、希望者を募ります。結局私を含めて3名が挑戦することに。

この谷を流れる川ですが、確かに深いところもあります。でも最終地点の洞窟に到着するには、途中で川が途切れていて、石ころだらけの岩地を徒歩で数分移動する必要もあります。裸足の足に小さな石ころが強烈に痛い! ですから、ワディ・シャーブではウォーターシューズがあれば一番良いかと思います。

最終地点の洞窟の美しさは言葉では表現できないほどでした。洞窟内に差し込む光が洞窟内の水を幻想的なブルーに照らしあげます。人工的にライトアップしてる? というくらい透き通る美しい光です。ただし、泳いで移動しているためにカメラを持っておらず、写真を1枚も取ることができませんでした。次回は必ずカメラ持参で泳ぎたいと思います。

この洞窟内では、岩山にロープが垂らしてありまして、さらに上のほうに行けるようになっています。しかし岩山からは水が絶えず囂々 (ごうごう) と流れ落ちていまして、ロープをつたって登るのは少し大変そうに思えます。何度か挑戦してもなかなか上に上がれない私の様子を見ていたとある男性が「ここに足をかけるんだ」と登り方を教えてくれまして、最後には無事に岩を伝って上に登ることができました。写真がないのがとても残念です…。

 

 

さて、このワディ・シャーブではかなりの時間を使います。ですからほぼ1日を使う感覚で予定を組まれるようにお勧めいたします。先ほども書いた通り、ここはツーリスト用の観光地ではありません。ですから、自然の他には何もありません。コロナ前は、水も売っていない、トイレもない…という状況でした。

 

トイレは…汚い話ですが、水の中でしている人もいるでしょうが、基本的には岩山の間で用を足すしかありません。とはいえ、今後整備が進むことが予想されます。少なくともトイレの整備は必須かと思います。

 

 

そんな風に少し残念な部分もありますが、それも未開発の手つかずの自然ならではの醍醐味かもしれません。オマーンに行かれる方は、ワディ・シャーブをぜひご日程に含められるようにお勧めいたします。その際、お水のボトルやスナック類をお持ちになるようお勧めいたします。また、簡易トイレのようなものがあればなおよいかもしれません。私もコロナ後に再度視察に行って、トイレの状況を確かめたいと思っています。

 

オマーンには、この他にも秘境がたくさんあります。海あり、山あり、谷あり、砂漠あり…しかもそれぞれのスケールが大きい! そして中東のアラブ諸国の中でも最もアラブらしさを残しているのが実はオマーンなんです。真のアラブの姿ここにあり。ぜひオマーン旅行をご計画になるようお勧めいたします。絶対に後悔されないと思いますよ!

 

 

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