ガジアンテプにある世界最大のモザイクミュージアム (トルコ)

ガジアンテプはトルコ南東部にある有名な都市で、ピスタチオの名産地でもあります。トルコ人にとってガジアンテプはあこがれの場所。ガジアンテプの食事もスイーツもトルコで一番美味しい…などとトルコ人の間では噂され、イスタンブールなどから日帰りでガジアンテプに食べに来るトルコ人も多いのです。本当にトルコで一番食事が美味しいのか真相は分かりませんが…。

 

そんなガジアンテプはシリアとの国境のほど近くにあり、車で3時間も走ればもうシリアのアレッポ。とはいえ、現在はそんな簡単にトルコとシリアを行き来できるわけではないのですが…。シリアに近いといってもシリアの政情不安の影響はトルコには一切関係ありません。そんなガジアンテプに居を定めて8か月ほどになります。これまでイスタンブールやイズミルに住んでいましたが、ガジアンテプの ”The トルコ” という authentic (本物) 感が特に気に入っています。

 

さてこのガジアンテプには、世界最大と言われるモザイクミュージアムがあります。 “Zeugma Museum” (ゼウグマ博物館) です。外観は下の写真のような感じです。ただしピンクの矢印で指している建物は博物館の一部ではありません。

 

 

この博物館の名称となっている Zeugma とはローマ時代のガジアンテプの古い名称です。現在は Nizip と呼ばれるガジアンテプの東のエリアから、ローマ時代の家々の床に敷き詰められていた数々の美しいモザイクが見つかっています。

 

 

↑2−3世紀ごろの貴族のお家を再現しています。お金持ちの人たちの家の床はこうしてモザイクで覆われていたようです。部屋の用途によって描かれるモザイク画も異なっていたようです。

 

モザイクと言えば、こんな柄を想像される方も多いかもしれません。

 

 

もちろん、上の写真のような典型的なモザイクもゼウグマ博物館に展示されています。でも、以下、幾つか見ていただくとお分かりになると思いますが…2−3世紀のモザイクは非常に絵画的。かなり精密です。モザイクとは思えないほど美しいです。いや、モザイクだから美しいのかもしれません。

 

 

 

博物館にはモザイクの大傑作が並びます。上の階からモザイクの全体像を見渡すこともできます。

 

 

上の写真の、二階から見下ろしたモザイクを拡大してみました。

 

 

 

この豪華絢爛なモザイクも時代の移り変わりとともにかなりシンプルなのが好まれるようになり、5−6世紀のモザイクになるとすっかりシンプルなものになります。人物はそれほど描かれなくなり、動物や花や木々や、あるいは幾何学的な模様が主流になります。ギリシャ神話の神々を描くモザイクは2−3世紀には時代の最先端をいく流行だったようです。

そして Zeugma Museum を代表する、いや、ガジアンテプを代表する有名なモザイクがこちら。「ジプシーの少女」として知られるモザイクです。

 

 

このモザイクだけ暗室に入れられていて、特別扱いです。観光客が多い時はそんなにゆっくり見ることができないのだと思いますが、観光客が少ない今はじっくりたっぷり鑑賞できます。実はこのモザイクは、とある家のキッチンに敷き詰められていた大きな大きなモザイクの断片です。

 

そして実はこの人物はジプシーではなく、アレキサンダー大王だという説もあり、その他の説もあり…でも発掘作業の時に呼ばれていた「ジプシーの少女」という名前がそのまま今でもモザイクのタイトルになっています。この少女の目がモザイクに思えないほど精巧で、語りかけてくるようです。憂いと喜びを秘めた美しい目。「モザイク画のモナリザ」とも呼ばれています。この少女を見るためにまたこの博物館に行きたいと思えるほど魅力的なモザイクです。

この「ジプシーの少女」はガジアンテプを代表するシンボルとなっており、例えばガジアンテプのトラム (路面電車) の ICカードにはこのモザイクがデザインされています。他にも、ガジアンテプに来られたら街のあちこちでこのモザイク画を見かけられることがあると思います。

 

下のモザイクの表情を見ていただいても分かると思いますが、「ジプシーの少女」の表情のリアル感は群を抜いています。

 

 

分かりやすく比べていただけるように、この両方の絵の目の表情を拡大してみます。「ジプシーの少女」の目の透明感・リアル感が際立つと思います。

 

ちなみに Zeugma Museum にあるモザイクの数々の傑作品は公式のホームページでも見ることができます。公式ホームページはこちら☞ http://zeugma.org.tr/fotograflar.aspx  すべてトルコ語なのが残念ですが、博物館に展示されている数々のモザイクを見ていただけます。

 

博物館の入場料は 30リラ。2021年3月現在のレートでは 450円ほどです。博物館の地図を以下に貼り付けておきます。

 

 

「本物」のトルコが楽しめるガジアンテプ。日本人の観光客はまだ非常に少ないのですが、トルコに来られる方にはぜひ足を運んでいただきたい素敵な街です。ガジアンテプに来られる際は、名産のピスタチオをふんだんに使ったスイーツもぜひご堪能下さい。

 

 

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